日本政策金融公庫が、従業員20人以下の小規模企業を中心に9月中旬に実施した「信用保証利用企業動向調査」結果(有効回答数5200社)によると、資金繰りDI(前期比、「好転」−「悪化」、季節調整値)は、2021年7~9月期実績ではマイナス幅が前期から2.6ポイント増の▲21.7と、中小企業の資金繰りは、やや悪化した。来期10~12月期はマイナス幅が同0.4ポイント拡大の▲22.1とほぼ横ばいとなる見通し。
また、今期(7~9月期)に借入を実施した企業の割合は、前期比9.5ポイント減の11.3%とほぼ半減。従業員規模別にみると、「0~20人」が同9.6ポイント減の9.9%、「21人以上」は同8.2ポイント減の18.6%。一社当たりの借入金額構成比は、「1千万円以下」が同12.4ポイント増の43.9%、「1千万円超5千万円以下」が同12.2ポイント減の37.0%、「5千万円超」が同1.4ポイント増の19.7%で、平均借入金額は4687万円だった。
今期に借入を実施した企業のうち、保証を利用した企業割合は、前期比17.0ポイント減の51.7%と大幅減少。保証利用割合別では、「全額利用」の割合は同15.9ポイント減の42.9%と減少、「一部利用」も同1.1ポイント減の8.8%となった。来期(10~12月期)における保証利用要請DI(前期比、「強くなると思う」−「弱くなると思う」、季節調整値)は同0.3ポイント増の▲3.0と過去最低となった。
一方、生産・売上DI(前期比、「増加」−「減少」、季節調整値)は、今期はマイナス幅が前期比0.1ポイント増の▲30.1と横ばいとなった。来期はマイナス幅が11.0ポイントと大幅縮小の▲19.1が見込まれる。また、採算DI(前期比、「好転」−「悪化」、季節調整値)は、今期はマイナス幅が同2.4ポイント拡大の▲32.5となり、来期はマイナス幅が同11.2ポイントと大幅縮小の▲21.3の見通しとなっている。
なお、コロナ禍の20年2月~21年9月に資金繰り対策として、信用保証付融資を「利用した」と回答した企業は71.7%。利用した金融機関では、「信用金庫」の割合が48.9%と最も高い。利用した企業の事業への効果(複数回答)をみると、「当面の手元余裕資金を確保することができた」の割合が70.7%と最も高く、次いで「取引先への返済・支払いを滞りなく行うことができた」(37.4%)が続いた。
同調査結果は↓
日本政策金融公庫:第210回 信用保証利用企業動向調査結果の概要
(タックスコム提供)