税理士事務所が大きくなっていく上で、権限移譲と組織作りは避けては通れない課題です。
あすか税理士法人さんは、10年間で10名→60名と成長され、北海道に5拠点を展開しておられる成長事務所です。
民事信託を活用した集客モデルも素晴らしいですが、集客を支える組織作りと両輪であったからこその成長だと思います。
あすか税理士法人さんでは、どのようにして所内の税理士を育成されたのでしょうか。
記事を一部抜粋して要約
今、弊事務所の軸になっている若い税理士たちには、支店長として大きな決済権を与え、権限委譲していますから、自分の事務所のような責任感を持ち、仕事をしていると思います。そうすると私は、皆の持っていないもの、できないことをしていかなければなりません。それで私は博士号を取りに行く、民事信託に取り組む。そうしたことに力を入れてきました。
すごく良い組織作りの考え方だと思います。
権限移譲は常に失敗とリスクがつきまといます。
また権限移譲したことで、事務所全体の方向性をコントロールする難しさも出てきます。
見えない部分が確実に増えますので、常に不安を抱えます。
それでも若い税理士に「自分の事務所のような責任感」を持たせることが重要だという考え方には、私も強く同意です。
事務所拡大のポイントについても、このようにおっしゃっています。
記事を一部抜粋して要約
―加藤先生が組織づくりを始めてから、事務所は大きく拡大されていますが、ポイントは何だったと思いますか?
部下の育成だと思います。自分と同じ考え方ができる職員を増やしていこうと考えました。そうした考えを元に作ったのが、独自の「生産管理制度」と「内部通貨制度」です。新規を取ってきた時の売上の配分にルールはなく、それぞれの貢献度などに応じて、当人たちの気持ちで内部通貨を分配させています。こうした仕組みを導入することによって、上長や先輩の予定に「営業」が入っていれば、どんなお客様か、自分が貢献できることはないかなどと皆が考え出すようになり、実際に獲得してきたら皆で担当したいと手を挙げるようになっています。
内部通貨制度、面白いですね。
この制度は斬新さにも興味を引かれますが、それ以上に「従業員に事業主感覚を持たせる」というところが優れていると感じました。
独立をすれば集客をすることは、自分の収入を増やすことと同義ですから、嫌でも営業への感覚は磨かれます。
しかし組織に属していると、どうしてもその部分は認識が甘くなると思います。
だからこそ、内部通貨制度で集客へのアンテナを立てさせたのかなと思いました。
記事を一部抜粋して要約
当時もっとも若かった米田が、何も分からないままに数字を作ることで、結果を示していきました。そうすると他の社員たちもごまかせませんし、言い訳ができなくなります。そうした意味で、彼の存在は大きかったと思います。彼は彼で、今も若い人を育成しながら、自分のコピーを作ろうと思考えているのだろうと思っています。
若手の税理士が活躍することで、他の社員も「よし、自分でもできるはず!」と考える空気感が生まれること。
そういう先輩の背中に憧れる後輩が、どんどん続いて出てくること。
先輩は、自分と同じ考え方ができるように教育石、引き上げていく。
これは組織作りの良い循環に入った最高の形ですね。
あすか税理士法人さんの記事には、組織の活性化のコツが凝縮されているように思いました。
勉強になりました。
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出典:FIVE STAR MAGAZINE 第49号『探訪 ! なぜ、札幌に秀でた事務所が生まれるのか?』