(Q.広大地評価の廃止の影響は?)
『還付請求は順次縮小していきます。すでに集客の割合では、相続税申告が還付請求を逆転しています』
岡野雄志税理士事務所/代表・岡野雄志氏

過去のファイブスターマガジンから、今読んでも税理士の先生方にとってお役に立つものを定期的にシェアしています。
今回はファイブスターマガジン(2020年1月号)「SERIES 特相最前線」より抜粋しました。
2005年に開業した岡野雄志税理士事務所は、当初、
「高額納税者の公示制度」
を税務署に開示請求して、取り寄せたリストにDMを出して集客していました。
しかし、開業年に公示制度は廃止に。
その後、セミナーやホームページ集客で広大地判定業務を請け負い、
相続税の還付請求で、累計1000件以上を実施してきました。
平成30年、その広大地評価も廃止に。
しかし途中、大きな追い風もありました。
平成27年の相続税改正で案件数は増加。
臨機応変な経営のご英断の結果、事務所は今も成長を続けられておられます!
(HPによると現在グループ従業員数は96名)
他の税理士事務所がやりたがらない「逆張り」の事業戦略は
集客のお手本でもあります。そんな必見の記事。まだお読みでない方はぜひ!

―相続専門で開業した理由を教えてください。

私の開業当時には高額納税者の公示制度があり、相続税においてもそれが公示されていました。
ですから、それを税務署に開示請求して、取り寄せたリストに毎月DMを出すことができたのです。
一都三県と近畿、中部だけでも公示された7割超をカバーするリストになります。
そうした恵まれた状況もあって、相続専門事務所として開業しました。

―なるほど。それで相続に特化したのですね。

しかし、恵まれた時代はすぐに終わりました。私が開業したその年に、公示制度が廃止になったのです。

―その中で、もっとも反響があったのが「相続税の還付請求」だったということでしょうか?

還付請求は、業界内で積極的に行う事務所は少数になっています。
そうですね、同業者にはうとまれやすい業務ですからね(苦笑)。
そうは言っても、損害賠償請求(税賠)となれば別ですが、
すでに相続税申告を終えて報酬を得ているものに対する還付請求ですから、
申告をした事務所に実害があるわけではありません。
それでも多くの事務所は、お客様から相続税の還付請求の相談があってもやりたがりません。
それが同じ地域の同業者が申告した案件ならなおさらです。
ですから、そうした案件が弊事務所に回って来ているのだと思います。

―ではその後は、どのように営業したのですか?

相続をテーマにした書籍を出版して、セミナーなどを行うとともに、
ホームページや紹介などでの集客も積極的に行っていきました。

―ほかの事務所がやりたがらない業務を行って、事務所を成長させてきたということですね。

相続財産において土地の評価が下がる広大地判定業務(更正の請求)では、ほかにも精力的に取り組む事務所がありますが、何が違うのでしょうか?
同業の税理士から広大地の判定業務を請け負っている事務所では、やはり積極的に提案することはしにくいのだと思います。
同業の先生方から仕事をいただいている関係で、税賠に発展する可能性のある還付請求を行えないからです。

―なるほど。こちらもほかの事務所ができない業務を行っているということですね。貴事務所の還付請求の実績を教えてください。

現在、相続税全体の案件数は年間400件です。これまでの累計では、還付実績が1000 件を超えたところです。これらは全国で行ってきたものです。

―そうした実績とともに、近年は事務所規模も急速に拡大されていますが、どのような要因があるのでしょうか?

私が最初に開業したオフィスが20名規模になった 2015 年に、相続税の改正がありました。
改正以前から相続税専門で取り組んできた事務所は、その追い風を受けてほぼ全ての事務所が急成長していると思います。
弊事務所もその例にもれずに、案件が増えたということだと思います。

出典:FIVE STAR MAGAZINE『岡野雄志税理士事務所(神奈川県横浜市)岡野雄志氏』