『流通・小売業での競争力は、「店舗の大きさ」で決まります。私たちは士業ですから、競争力となるものは「人数」です』
ベストファームグループ/代表・斉藤浩一氏

過去のファイブスターマガジンから、今読んでも税理士の先生方にとってお役に立つものを定期的にシェアしています。
今回はファイブスターマガジン(2020年5月号)「地域一番獲得のビジネスモデル」より抜粋しました。

ベストファームグループは、1984年福島県に事務所を開設し、
2003年同県郡山市で開始した
司法書士・行政書士・土地家屋調査士のワンストップサービス「手続きコンビニ」で事業を拡大しました。
このベストファームモール二号店となるいわき店はなんと…
敷地面積930坪、総工費は5億円とのこと!
これだけ聞けば、とても士業のビジネスモデルとは思えません。
とくに都心部の先生方にしてみれば、規格外と言えるでしょう。
その常識外れに見える戦略の裏には、緻密な勝算があったのです!
集客は?人材育成は?
ビジネスを真剣に考える税理士の方にとても有益な記事となっています!!

―商圏人口、競合の状況から、執務スペースの大きさ、面談室の個数、駐車場の台数、そして今回はEVの設備まで、その全てが、地域一番となるために必要なものだということですね。
例えば、個人経営の飲食店のオーナーは、空いたテナントで良さそうな物件を見つけて出店していきますが、それではたとえ繁盛したとしても本当にそれが最善のものなのかは分かりません。
もう少し大きな物件ならもっと利益が出ていたかもしれないのです。
チェーン店やFC店では、そうしたことはありません。
席数、客席稼働率、回転数、客単価などを店舗ごとに計算し、日商と損益分岐点を検討し、採算が合う地域・物件で出店します。
駐車場が何台必要かというところまで、パッケージになっているのです。

―士業の場合も、それと同様のことができるということですね。
はい。まずは人数がどれだけいるかで売上が決まります。
ですから、店舗の収容人数で売上が決まっていきます。
このとき、都会なら駅前の大きな物件を見つければよいのですが、
地方事務所では人数分の駐車場が必要になります。
それから立地は、士業事務所にとってという意味では、役所の近くにあることは好立地になるのではないかと思います。
その点で、今回のいわき店は、法務局から数分で、かつ合同庁舎の向かいにある絶好の条件になっています。
飛び込み客も増えると思いますし、特に相続には大きなプラスになると思います。
こうした立地条件がどのくらい成績に影響してくるかは、今後数年で結果が分かります。
これが良ければ、次に出店するときに、同条件の立地を探せばいいと思います。

―一号店と異なる設備やサービスはありますか?
今回のいわき店には、カフェを設置しました。
郡山店では、新規集客の取り組みとして、カルチャースクールを毎週実施してきました。
高齢者向けの講座をたくさん開催していますので、地域の高齢者はたくさん集まるようになってきましたが、今回のいわき店では高齢者以外も集客できるだろうと思っています。
平日の昼間はお年寄り向け、平日の夜は市役所に勤めている人向けのビジネススクール、週末は家を建てる人向けの勉強会など、フルに店舗を活用して集客していきたいと思います。
そして、そうした参加者が集まれるコミュニティをカフェを中心に作っていきたいと思っています。

―地域密着型のマーケティングを、さらに押し進めるということですね。
郡山店では、相続手続きだけで多いときは月に50件受託します。
決済も郡山店では月間100件を行っています。
こうやって毎月200~300件の新規リストが増えていくと、年間では5千件ものリストになります。
10年続けば5万件です。実際に郡山の顧客リストは8万件になっていますが、これをまだうまく利用できていません。
今後は、会員制度やCRMの仕組みを構築していき、お客様のライフステージに合わせた、さまざまなご提案ができるようにしていきたいと思います。
士業の商品のほかにも、保険、住宅建築、賃貸など、モールとして多くの商品を持つことで、お客様との接点も増えていきます。

出典:FIVE STAR MAGAZINE  第56号 『士業における新しいビジネスモデル構築への挑戦!ベストファームモール2号店(福島県いわき市』)