「私たちは、より高度な知識が求められる本業に会計事務所様が専念いただけるように、お手伝いをしているわけです」
自動仕訳ソフト『SCARU』の開発元・株式会社スキャる/取締役・坂本竜郎氏
過去のファイブスターマガジンから、今読んでも税理士の先生方にとってお役に立つものを定期的にシェアしています。
今回はファイブスターマガジン(2021年1月号)「入力業務のDX:AI-OCR編」より抜粋しました。
AI-OCRという言葉をご存じでしょうか?
OCRとは、領収書などのアナログな紙を画像データで読み込んで、その中にある文字や数字を認識してデジタル化する技術です。
AI-OCRとは、これにAI(人工知能)技術が加わったもののことで、
これまでのOCRのように、決まった位置に決まった数字が書いていなくても、
学習を繰り返すことで、ひとつずつ形式が違う領収書などから、
日付、店名、金額などの「情報を、意味とともに」読み取ることができる技術です。
記帳代行の自動化技術についてはもう15年以上前から
会計業界への導入が試行錯誤されてきました。
そのたび、100%の有効活用ができず、現場からの不満とともに
元々のやり方に逆戻りしてきたご経験をされた先生もおられるのではないでしょうか?
それに対し、株式会社スキャる取締役の坂本氏の考えは、
自動化に100%の精度を求めず、入力後の仕訳データのチェックや修正は
監査業務の一環として、今後も会計事務所側のタスクとする。
機械でできる仕事を切り分けるのがDXの第一歩だ、というものです。
会計事務所の効率化はいよいよ本格化を迎えていることを感じさせてくれる記事です!
「例えば、仕訳業務をアウトソースする場合を考えてください。
アウトソース先から帰ってきたデータは、お客様に提供する前に必ず事務所で内容を確認しますよね。
つまり、そもそも、そうしたチェックは会計事務所が行うことに価値があると私たちは考えています。
私たちは、税務監査はRPAではできないと割り切ってサービスを提供しています。
SCARUでは、仕訳データの作成までは全自動で行いますが、
そのあとに仕訳データをチェックしたり修正していただくのは、監査業務の一環として、会計事務所様にお願いしています。
私たちは、より高度な知識が求められる本業に会計事務所様が専念いただけるように、お手伝いをしているわけです」(坂本氏)
機械でできない仕事と機械でできる仕事を切り分けて、後者を機械に任せる。これこそがDXの第一歩だ。―「蓄積」で、成長曲線が急カーブに変わる
自動学習や機械学習と呼ばれる技術は、大量のデジタルデータをAIに学習させていくことで、精度が高くなっていく。
経験や場数がモノを言うのは、人も機械も変わらない。
「これはどのような業界においても同じですが、始めから百点満点のアウトプットの出せるAIはありません。
将棋や囲碁でも、敗戦から学習を続けることで人間に勝てるようになりました。SCARU も同様です。
どの会計事務所の仕訳も始めから百点満点で仕訳を行えるわけではありません。
会計というのは、顧問先ごとに処理が違ったり癖がありますので、別の会計事務所のお客様で学習したデータを使うことはできません。
弊社では国内最大手の辻・本郷 税理士法人様に、2年前からSCARU を導入していただいておりますが、
当初は間違いの多かったものを、根気よく育てていただきました。
そのおかげで現在は、高い精度で仕訳ができるようになり、『この2年間はムダではなかった』というお言葉をいただいています。
DXに取り組むということは、人を育てるのと同様に時間のかかることだと思います。
ですから私たちはお客様に、一緒に機械を鍛えていただくことをお願いしています」(坂本氏)
DXへの取り組みは、即効性を求めて行うべきではない。導入時の負荷はかかるものの、
後から必ずそれが成果となって返ってくる。それは間違いないことだ。
そう考えれば、人材育成よりも、はるかに効率のよい作業かもしれない・・・。
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FIVE STAR MAGAZINE 第60号(2021年1月号)「入力業務のDX:AI-OCR編」