「意識していたのは、「すべて人」だということです。頑張る人材に入所してもらって、ずっと一緒に力を合わせていくこと」
日本経営ウィル税理士法人(大阪府大阪市)顧問・親泊伸明氏
過去のファイブスターマガジンから、今読んでも税理士の先生方にとってお役に立つものを定期的にシェアしています。
今回はファイブスターマガジン(2021年3月号)「大阪一の会計事務所、その拡大の系譜」より抜粋しました。
グループ総勢2605名となる日本経営グループ。
その母体であり中核の日本経営ウィル税理士法人は、
いかにして現在の規模に成長・発展を遂げることができたのか?
元・日本経営ウィル税理士法人代表の親泊伸明氏(現顧問)はこう述べます。
「大きくなったのではなく、別れなかった」
つまり、お互いがわがままを言うのではなく、
互いに協力して、離れずに1つの事務所でやってきた結果という訳です。
「仕事を任せきれるかどうかが、「違い」になる」
ともおっしゃられています。
わがままを少し我慢して、力を合わせる。
相手を信頼して、仕事を任せきる。
士業事務所の組織経営のポイントが詰まった何度読んでも学ばせて頂く所の多い記事です!
―そうした努力が結実して、現在の日本経営グループがあるわけですね。
よく「(事務所が)大きくなった」と言われますが、実際はそうではなくて、「別れなかった」ということが本当のところだろうと思います。
弊事務所と同じように成長や拡大していた事務所は、全国にたくさんありました。
しかし、士業では独立や分裂などが起こります。お互いに好きなことを言っていれば、組織は持ちません。
私たちは、互いに協力し、離れずにこれまでやってきました。現在のグループは、そうしたことの結果だと思っています。
―現在の日本経営ウィル税理士法人は、2017年に税理士法人日本経営とウィル税理士法人をグループ内合併する形で設立されています。どのような経緯があったのでしょうか?
もともと創業者が設立した菱村総合税務会計事務所があり、1987年に、その事務所を菱村と私と平山(現日本経営ウィル税理士法人顧問)
の3名の共同事務所として、近畿合同会計事務所に名称を変更しました。
その後、2002 年に税理士法が改正されたときに、定型業務を主に行う税理士法人近畿合同会計事務所(のちの税理士法人日本経営)
と資産税などのスポット業務を主に行う税理士法人関西合同事務所(のちのウィル税理士法人)の2 つに分けて設立しました。
その2つの税理士法人を2017 年に再統合させたのが、現在の日本経営ウィル税理士法人です。
私は近畿合同会計事務所から代表を歴任しながら、税務部門のトップとして事務所を支えてきています。
現在は所内のルールにしたがって、代表も社員税理士も降り、顧問という役職で税務部門をサポートしています。
―グループでは、税務やコンサルティング以外にも、様々な事業を行っています。
グループの事業として、調剤薬局や介護事業などを行っています。
介護はお客様の事業を引き継いだのがスタートで、調剤薬局もお客様の病院から依頼されたものが始まりでした。
現在は、介護や調剤薬局の事業も含めれば、グループ全体で2600 名を超える規模に拡大しています。
―そのようにグループの業容が拡大していく中で、会計事務所の役割は変わってくるものでしょうか?
例えば、弊グループで主に医業向けに提供しているコンサルティングサービスは、税務とはまったく別のものであり、
人事や医業経営のコンサルティングを行っています。
それらは、一般的な会計事務所で行われている財務面のコンサルティングとはまったく異なります。
弊グループの会計部門の中にも、財務コンサルティングを行う部門はありますが、
医療向けのコンサルティングは収益改善や人事制度構築などを行い、全く異なるソリューションを提供しています。
採用時から、税務とコンサルティングのメンバーはまったく別ルートで、キャリアアップしていきます。
私たちは、現在のような規模ではなかったころから、そうしたコンサルティング部門を立ち上げています。
そうした意味では、メンバーがこれまでよく頑張ってきたと思います。
現在は医業業界でいくらか名前を知っていただけるようになり、受注もしやすくなってきています。
税務とコンサルティングは、まったく別のものではありますが、
例えばデューデリジェンスや財務面でのサポートが必要なときには、コンサル部門から士業の部門に紹介があります。
反対に税務顧問先の病医院などの経営改善をサポートすべきときには、コンサルティング部門に紹介するケースもあります。
私たちは、私たちの持っている能力を、お客様に全てご利用いただきたいと考えています。
―親泊先生がリーダーや組織の長として、気をつけていたことは何ですか?
意識していたのは、「すべて人」だということです。頑張る人材に入所してもらって、ずっと一緒に力を合わせていくこと。
社内のメンバーとの関係も、それぞれを立てながら、それぞれが我がままを言わないように、力を合わせていくことが大前提です。
そうした環境の中で、私は仕事に前向きに取り組んでくることができました。今思えば、それが良かったのだと思います。