独立後に役立ったものは、「幅広い業務経験」と「税金の知識」。

ベンチャーサポート司法書士法人で勤務をした後、独立をして活躍中の日野洋介氏。今回は日野氏に「ベンチャーサポートでの経験が独立後にどう役立っているのか」について聞いてみました。

-独立されて3ヶ月。お仕事は軌道に乗りましたか?

はい、お陰様で順調なスタートを切れました。クライアント0からのスタートだったので、先行きが見えない中の独立だったのですが、今は金融機関からの仕事を中心に忙しい毎日です。

-それは素晴らしいですね!

逆に業務に手一杯なところもあって、新規開拓に手が回らなくなって来ているのが課題ですね。一つの会社に依存すると、万が一、その会社からの仕事が止まったときにピンチになりますので、なんとか時間を見つけて新規開拓に力を入れていきたいですね。

-独立して戸惑ったことはなかったですか?

戸惑いの連続でした(笑)。ベンチャーサポートにいたころは、法務局に行ったり郵便局に行ったりすることもなくなっていましたし、消耗品の補充なども総務の仕事なので自分ですることは無かった。ですが、今は全部自分がやらないといけない。当たり前のことではあるのですが、やっぱり大変ですね。

そして何より自分の取り分は自分で稼がないといけない。家族にも迷惑を掛けます。すごく気が引き締まる思いです。

-独立をしたからこそ実感できる想いですね。日野さんがベンチャーサポートで経験したことで、独立後に役立っていることってどんなことがありますか?

まずは何より実務経験ですね。私はベンチャーサポートで3年2ヶ月ほど、その前に別の司法書士事務所で8ヶ月ほど経験を積んできたのですが、ベンチャーサポートで一通りの司法書士業務を経験できました。その経験があるので、今はどんな業務が来ても自信を持って対応できるようになっていますね。

商業登記、相続登記、不動産登記、家族信託、決済。
とにかく幅広い業務が経験できたのは、自分のキャリアの中で大きな財産になっています。

そして、私がすごく良い経験が積めたと思っているのが、税理士と一緒に仕事をする機会が多かったということです。

司法書士って基本、税金苦手です。(笑)
研修でざっと習うのですが、「何かやばいところがある」っていうイメージがあるくらいで、「じゃあ実際、どうすれば良いのか」となると自信が持てません。

ベンチャーサポートって税理士と同席しながら仕事を進める機会も多いので、リアルに税金の勉強をすることができました。
やはり実地で税金に直面すると、確実に身に付きます。
これは今から就職活動をされる方には、ゲキ押しポイントですね(笑)

-なるほど、税金と登記の総合的な知識が身についたわけですね。他には、どんなことが役立っていますか?

リスク判断についても、ベンチャーサポートの経験がすごく役立っていますね。ベンチャーサポートのときは、管理者として司法書士業務の全体を見ていました。そのなかで司法書士の業務上のリスクを見る目が養われていきました。

普通の司法書士事務所であれば代表司法書士が判断することなので、スタッフとしてどこか他人事になりがちです。

でもそれで独立をすれば、かなりの確率でトラブルに巻き込まれることになります。

特に相続に関する仕事は、認知症の問題が絡んできます。もし認知症の症状が出ているのに、確認不足で進めてしまうと、後々大きなリスクに繋がります。

商業登記でも年々本人確認が重要になってきてますし、リスクの判断が適切にできることは、今の時代、独立するために非常に大事な能力だと思います。

正しいリスク判断をして、そのときの経緯をキチンと記録をして残しておくこと。

ベンチャーサポートでは他士業も含めて当然のことなんですが、これが徹底されて身についていたことは独立後に役立っていますね。

-なるほど、リスク管理は時代的にどの士業でも重要になっていますね。集客面はどうですか?

直接的な集客方法という意味では、ベンチャーサポートは税理士法人からの紹介が多かったので、独立後の動き方とは違いますね。ですが「士業はサービス業」という考え方は、すごく役立っています。

ベンチャーサポートに入社する前は、司法書士は手続きをする専門家という認識でした。ベンチャーサポートに入って、この考え方ではダメだなと気づいたのです。手続きを正しくできることは当然のこと。でもお客様が期待してるのは、もっと上のことなんだなと。

-どういうことでしょうか?

たとえば、いま私は銀行から仕事をもらっています。でも銀行にはもともと別の司法書士との付き合いがあったはずです。もし、「登記という手続き」だけを求められているのであれば、わざわざ司法書士を変える必要性は銀行には無いはずです。

ですが、実は銀行が求めているのは「手続き」と「お客様への気遣い」なんです。銀行からすると、銀行の大事なお客様に会わせる司法書士が気遣いできていなかったり、無愛想だったりすると、銀行の顔が潰れるわけです。

この気遣いという部分が、「士業はサービス業」という考え方の本質です。
お客様が気持ちよく依頼できる司法書士。
そのためには、何をしないといけないか。何をしたらダメなのか。
それをベンチャーサポートでは徹底的に叩き込まれたと思います。

-そうですね、「士業はサービス業」という考え方はベンチャーサポートグループ全体の理念ですね。経験者で入社される方は、よく驚かれる点です。日野さんは、ベンチャーサポートに入社を考えているとき、何か不安なことはなかったですか?

そうですね、経験者だったということもあって、業務についてはそれほど大きな不安はなかったのです。敢えて言うならば「税理士法人と司法書士法人は、どういう立ち位置だろう?」というのは気になりましたね。

ベンチャーサポートグループはもともとが税理士法人を母体としているので、税理士の力が強いのかなとか。
特に司法書士法人は税理士法人から仕事が回ってくるので、立場が下請けみたいだったら嫌だなと。

-実際、そのあたりはどうなんでしょうか?

仕事の流れとしては、税理士法人の顧問先の登記が多いので、税理士法人のスタッフから出てきます。ですが、それが下請け的な上下関係にはなっていませんでした。考え方はシンプルで「お客様の満足度を高めるためのパートナー」です。

一緒に顧問先とのMTGに同席して、一緒にベストな提案を考える。専門家としては完全に対等だという信頼と認識がありましたね。

-最後に、いつか独立をしたいと考えている求職者に向けて。

司法書士の独立に必要なことはベンチャーサポートで学べます。いろいろな業務内容、サービス業としての考え方、リスク管理。そして「独立するので退職したい」という話をしても、それ以降も何も変わらず周りが接してくれます。こういうところが、ベンチャーサポートの良いところです。だから独立をしても関係性が切れずに、良い関係性を続けることができているんだと思います。