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税が優遇される?空き家売却におけるポイントとは

空き家は、今や社会問題化しています。

その数は人口減少の顕著な地方を中心に毎年増え続け、総務省発表の「住宅・土地統計調査」によるとその数は862万戸に達し、全住宅戸数に占める空き家の割合も13.6%に上ります。

空き家の増加は衛生(害獣・シロアリ・カラスなど)、安全(建物の倒壊)、治安などさまざまな問題を引き起こします。

同時にスポンジ化現象を招き、市街地の拡散と公共インフラの希薄化といった形で土地の有効利用・地域の活性化を阻害します。

とくに空き家の60%は昭和56年の建築基準法改正前に建築されており、将来起こりうる震災に備える意味でも早急な防災対策が欠かせません。

親が施設に入居した、相続で不動産を取得したが生活拠点・事業拠点から離れているなど、空き家を所有する側もさまざまな事情を抱えています。

放置しておいても固定資産税が低額で済むという税制上の問題も、空き家増加の元凶であるともされています。

政府も空き家の撤去・売却・空き家活用を促すために、アメとムチ両面で施策を講じています。

ムチとは特定空き家への指定と固定資産税の強化策であり、一方のアメが空き家売却益に対する税制面での優遇制度です。

本制度の導入は2016年ですが、使いづらい面が多く平成31年度の税制改正で見直しが図られました。

今回の記事は、空き家売却の税制優遇措置について紹介します。

譲渡所得に対する課税と特別控除

土地・建物の譲渡所得税制の概要

土地・建物を売却した場合、譲渡益に対して所得税が課されます。

譲渡所得は給与所得・事業所得といった他の所得と分離して、所有期間に応じて一定税率を乗じて課税額を算定します。

<その年1月1日における所有期間5年以下>
所得税30%+住民税9%+復興所得税0.63%=39.63%

<その年1月1日における所有期間5年超>
所得税15%+住民税5%+復興所得税0.315%=20.315%

<その年1月1日における所有期間10年超の居住用不動産>
譲渡益6,000万円超の部分:所得税15%+住民税5%+復興所得税0.315%=20.315%
譲渡益6,000万円以下の部分:所得税10%+住民税4%+復興所得税0.21%=14.21%

譲渡益と特別控除

譲渡益は(譲渡収入-取得費用-譲渡費用-特別控除)の算式で計算されます。

特別控除とは、強制力を伴った収用・区画整理事業・住宅造成事業による売却や生活基盤である居住用不動産の売却など、売却にかかわるさまざまな事情に応じて認めている優遇措置で、特別控除により譲渡所得が圧縮できます。

空家の譲渡に対する特別控除

従来から居住用不動産に対しては3,000万円の特別控除が認められてきましたが、2016年4月からは一定の要件のもとに相続・遺贈により取得した空き家(被相続人の居住用財産)に適用範囲が拡がりました。

ただし、相続開始直前まで居住していたことが条件とされていたため、親が施設などに入居していて相続開始の時点ですでに空き家になっていた場合には適用から外れていました。

「使いづらい制度」との指摘を受け、2018年度には適用要件が緩和され、被相続人が老人ホームなどで亡くなられた場合も一定の条件のもとに控除が受けられるようになりました。

特別控除を受けるための居住用家屋に係わる条件

適用を受けることができる空き家の3要件

特別控除の適用を受けるには、以下の3要件を満たさなければなりません。

  • ・昭和56年5月31日以前の建築であること
    昭和56年6月には改正建築基準法が施行、耐震基準が強化されています。
    つまり特別控除が適用されるのは、新耐震基準が施工される前に建てられた空き家ということになります。
  • ・建物について区分所有登記がなされていないこと(マンションは適用対象外)
  • ・被相続人以外に居住していた同居人がいないこと(1人暮らしであること)

居住条件の緩和

特別控除の適用を受けることができるのは、原則として相続開始の直前まで居住していた土地・建物に限られます。

ただし、相続開始時点において老人ホームに入居していた場合(要介護または要支援認定を受けていた場合に限る)にも、一定の使用がなされていた場合には特別控除が認められます(賃貸・事業の用・被相続人以外の居住の用に供されていた場合を除く)。

一定の使用とは、家財道具の保管場所としての利用の他、被相続人が一時帰宅・外泊として利用していた場合を含みます。

なお居住条件に該当する住宅であることを証明するためには、被相続人居住用家屋確認申請書に所定の書類を添付して、市町村長から確認書の交付を受けなければなりません。

証明事項 添付書類
被相続人が相続開始直前または老人ホーム入居まで居住していたこと 戸籍又は除籍謄本
被相続人が要介護または要支援の認定を受けていること 介護保険被保険者証または障害福祉サービス受給者証の写し(無い場合は要介護を証明する老人ホーム等の書類等)
相続直前に居住していた老人ホームが介護老人保健施設・サービス付き高齢者住宅・障碍者支援施設など一定の要件を満たすこと 老人ホームのパンフレット・説明書・契約書など、施設の名称・所在地・条件に該当する施設である旨が記載された書類
一定の使用がなされていたこと 老人ホームの外泊記録・帰宅許可証明
水道・ガス・電気の契約者及び使用中止日が確認できる書類
空き家をあて先とする郵便物等
市町村の課税証明書(不動産所得が無い旨の確認)
相続開始から譲渡まで建物が事業・賃貸・被相続人の居住の用に供されていないこと 売買契約書の写し
買主募集広告(現況空き家の表示)
水道・ガス・電気の中止日が記載された書類
その他空き家バンクへの登録証明、市町村が認める者による管理を証明する書類

特別控除を受けるための売却にあたっての条件

売却期限及び売却代金

特別控除の適用を受けるためには、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに土地・建物を売却しなければなりません。

かつ、売却代金については1億円までとされています。

なお空き家と一体利用していた部分を分割売却した、またはほかの相続人が別途売却している場合には、相続開始後3年以内の属する年の12月31日までに売却した代金を合算して1億円以下基準への抵触を判定します(低額譲渡や贈与を行った場合も、第3者に対する通常の取引があったものとみなして譲渡対価を計算します)。

仮に売却代金が1億円以内で3,000万円特別控除の適用を受け、その後の別途売却で1億円を超えた場合には4か月以内に修正申告書を提出しなければなりません。

この場合の申告は自主的な修正申告に該当し、加算税は課されませんが延滞期間分の延滞税は納付しなければなりません。

他の特例との併用について

当該空き家について他の特例(収用等の特別控除等)の適用を受けていないことが条件です。

同一の被相続人からの相続・遺贈から取得した他の空き家について特別控除を受けた場合も、重ねて適用を受けることはできません。

なお、相続・遺贈により取得した不動産を相続開始後3年以内に売却すると、譲渡益算定に当たって相続税のうち不動産相当分を取得費に換算できます。

これを「相続税の取得費加算」と呼びますが、空き家の3,000万円特別控除と相続税の取得費控除は選択制であり、併用は認められていません。

一方で、小規模宅地等に係わる相続税の課税価格の特例に関しては、3,000万円特別控除との併用が可能です。

なお、空き家の譲渡益に対する特別控除の適用を受ける年に、自己住宅を売却する場合には、居住用不動産の譲渡益に対する特別控除・居住用不動産の買い替え特例・住宅ローン控除等を併用して受けることができます。

ただし、この特別控除の併用に関しては、控除上限はあくまで3,000万円です。

売却先

直系血族・夫婦の他、生計を一にしているまたは売却後の空き家に居住する6親等以内の血族及び3親等以内の姻族・事実上の婚姻関係にある者・被相続人からの経済援助により生計を維持している者・その個人や親族が経営する同族会社への売却に対して、特別控除は認められません。

空き家の取り壊し

特別控除の適用を受けるには、原則として空き家を取り壊し、更地にしなければなりません。

更地に建物・構築物を建築した場合は、特別控除の適用を受けることができません。

ただし当該空き家にリフォームを施し、一定の耐震基準をクリアーした場合には特別控除の適用を受けることができます。

一定の基準は、譲渡時における国土交通省・財務大臣が協議して定める「地震に対する安全性に係る基準」によるとされています。

安全性基準は都度改定されるので、事前にリフォーム業者や税理士などに確認しておくとよいでしょう。

申告手続き

3,000万円特別控除の適用を受けようとする場合には、譲渡した年の翌年2月1日から3月15日までの間に、申告者(被相続人ではありません)の住所を所轄する税務署に確定申告書を提出しなければなりません。

申告書は税務署が開いている時間に直接提出するほか、屋外に併設しているポストへの投函、郵送による提出も認められています。

なお、郵送の場合は税務署に到着した日ではなく消印日付をもって提出日と認められます。

申告に当たって添付すべき資料は以下の通りです。

  • ・譲渡所得の金額に関する明細書
  • ・国土交通省が指定する住宅性能評価機関や建築士等が発行する建設住宅性能評価書や耐震基準適合証明書(空き家をリフォームした場合に限る)
  • ・売却金額が1億円以下であることを証明する売買契約書の写し等
  • ・空き家の登記事項証明書等(建築年月日及びマンションでない旨の確認)
  • ・市町村長が発行した被相続人居住家屋等確認書

生前に売却しても特別控除の適用を受けられる

居住用不動産の譲渡益に対して適用される3,000万円特別控除は、譲渡時において居住の用に供していることが原則ですが、居住の用に供さなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までなら認められます。

空き家を取り壊した場合には、取り壊しの日から1年以内に譲渡契約を取り交わさなければなりません。

更地を貸駐車場などに活用していた場合には、適用を受けることができないので要注意です。

この制度は、転勤に伴う引っ越しなどの場合以外に、居住者が老人ホームに入居したケースでも活用できます。

ちなみに居住用不動産の譲渡益に対する特別控除に関しては、空き家に対する特例と違って建築年月日・1人暮らし・戸建て限定などの厳しい条件は課されません。

売却先に関しては、空き家の場合と同様に親族などへの売却は認められません。

まとめ

節税対策は早めのアクションが肝要です。

親が健在のうちに、空き家が「被相続人の空き家を売った時の特別控除」の適用条件に該当する物件に該当するかを確認、仮に該当しない場合は生前の売却も検討することをお勧めします。

なお、居住用不動産の譲渡益に対する特別控除なら自力での確定申告も頑張ればできそうです。

一方で空き家の特別控除の方は、市町村長から確認書の交付を事前に受けなければならない上に、提出書類も多岐にわたるなどハードルがグッと上がります。

この場合は、税理士などに相談することをおすすめします。

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