株式会社と合同会社の違い
株式会社 | 合同会社 (LLC) |
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設立費用 | 設立費用実費 20.2万円 |
設立費用実費 6万円 |
信用力 | 高い | 株式会社よりは低い |
節税 | 多くの節税が認められている | 多くの節税が認められている |
資金調達 | 銀行、日本政策公庫ともに信用力が高い | 株式会社とほぼ同等 |
会計処理 | 複式簿記によるしっかりとした会計が必要 | 複式簿記によるしっかりとした会計が必要 |
人事募集 | 集まりやすい | まだ認知が広がっておらず、集まりにくい |
責任範囲 | 出資の範囲内。ただし実務上は代表者 保証が付くことが多い | 出資の範囲内。ただし実務上は代表者 保証が付くことが多い |
給料 | 役員報酬給料ともに可能 | 役員報酬給料ともに可能 |
繰越欠損金 | 青色申告10年 | 青色申告10年 |
住民税 | 都道府県・市町村によって異なるが、法人税額の約17%と均等割約7万円の合計(赤字でも7万円) | 都道府県・市町村によって異なるが、法人税額の約17%と均等割約7万円の合計(赤字でも7万円) |
事業税 | 利益に応じて 5%~9.6% |
利益に応じて 5%~9.6% |
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合同会社を設立される方は年々増加しています。政府統計によりますと、平成28年には年間23,787件で、8年間で年間設立件数が4倍以上に増えています。平成28年の法人設立のうち、5件に1件は合同会社が選ばれています。
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アップルジャパン、アマゾンジャパン、スーパーの西友(ウォルマート系列)など外資系の大手会社が合同会社を選ぶケースが増えてきています。上場することを考えないのであれば、合同会社は大手企業にとってもメリットが大きいのです。
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合同会社は法人です。個人事業の方が法人化をお考えの場合、株式会社と合同会社という選択肢があります。
株式会社との違いは、合同会社は「お金を出す人(出資者)」=「経営をする人」になります。株式会社は「お金を出す人(出資者)」は「役員」に就任して経営をすることもできますし、株主としてお金を出すだけということもできます。
多くの場合、株式会社であっても「お金を出す人(出資者)」=「経営をする人(自分)」のケースがほとんどですので、そういった意味では、株式会社と合同会社に違いはないとお考え下さい。 -
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合同会社でも銀行の融資を受けることができます。一昔前は銀行の方で合同会社への融資実績が少なかったため、躊躇するケースがありましたが、今は株式会社と遜色はありません。実際、弊社で連携している日本政策金融公庫などの創業支援をする銀行でも融資実績が多数あります。
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合同会社では代表取締役のことを「代表社員」と呼びます。社員といっても、普通の会社で言う従業員のことではありません。会社法で定められた呼称として、株式会社の取締役にあたる地位のことを社員と呼ぶのです。
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合同会社という響きから、1人では設立できないのではないかというご質問が多くありますが、合同会社は1人でも設立可能です。1人で出資して、経営も1人というミニマムの設立も可能です。合同会社(LLC)とよく似た呼称の「LLP(有限責任事業組合)」は2人以上でないと設立できないため、混同される方がいらっしゃいます。
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合同会社で儲かった利益には法人税が課税されます。消費税も通常3期目から課税されます。税金に関しては、株式会社と全く同じ仕組みです。使える節税のスキームも株式会社と変わりません。また税務調査も株式会社と同じように実施されます。
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合同会社を作ると、社長1人であっても社会保険がかかります。社会保険の適用については株式会社と全く同じで、助成金を受ける条件も同じです。
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「合同会社」を略して記載する場合、「(合)」ではなく「(同)」と書きます。これは、合同会社以外にも「合名会社」というものと「合資会社」というものがあるため、「(合)」にしてしまうと区別ができないからです。また銀行で通帳には「ド)会社名」と通帳に印字されます。英語表記では合同会社は「LLC」とされます。
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合同会社で作ったものの、やはり株式会社に変更したいということもあります。この場合、登記を変更することは可能です。ただし、費用としては印紙代等で約10万、会社印鑑の作り直しで1万、司法書士手数料10万が発生します。また期間としては、官報に1ヶ月間、公告をする必要があり、その後での登記変更となりますので、約2ヶ月の期間がかかります。最初の段階で、合同会社のメリット・デメリットを確認して作ることが良さそうです。
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設立登記の際に法務局で支払う印紙代が6万円
合同会社は設立の際に法務局で支払う印紙代が6万円です。株式会社であれば印紙代が15万円かかりますので9万円お得です。 -
合同会社は決算公告がない
株式会社は年に1度の決算を行った後、決算書を「官報」と呼ばれる日本の国が発行している新聞のようなものに決算書類を掲載することになっています。1回あたり最低でも5万9126円の掲載料が必要になります。合同会社はこの決算公告が不要です。
ただ実態としては、中小企業で実施率が4.3%ということで必ずしも徹底されているわけではないのが現状です。(中小企業庁「会計処理・財務情報開示に関する中小企業経営者の意識アンケート調査報告」より) -
役員の任期がない
株式会社は役員に任期があり、任期が切れる都度、登記をしないといけません。任期は定款で定めることができ、最短2年から最長10年まで選べます。役員の再任登記には印紙代が1万円かかります。合同会社には役員の任期がありませんので、再任登記は不要になります。 -
配当を自由にできる
会社で儲けた利益を出資者に還元する方法として配当金を出すことができます。株式会社の場合、原則持ち株数に応じて配当金が支払われますが、合同会社は自由に割合をかえることができます。 -
知名度が低い
法人設立の数では合同会社の割合が増加していますが、まだまだ世間一般には耳慣れないというのも事実です。もし人からの見られ方が気になる方であれば、無難に株式会社にするほうがいいかもしれません。また稀にですが、「取引先が法人契約を求めてきたが、合同会社ではなく株式会社しかダメだった」というケースもあります。 -
求人で苦戦する傾向にある
知名度が高くなっていないことが影響に出るのが、求人の際です。求職者の認知が低いため、株式会社より敬遠される傾向があります。「非営利の仕事をするのではないか?」「ずっと永続するのか?」と思われることがあるそうです。 -
出資者の間での揉め事になるケースが株式会社と比較して多くなる傾向がある
株式会社では原則的には、株式の出資金額に応じて議決権が与えられますので、出資者間で見解の相違があった場合、出資金額の多い人の意見が議決されます。しかし、合同会社では出資者全員の合意が必要になりますので、出資者間で意見がまとまらないと、経営が停滞する恐れがあります。 - 株式会社より安くできた(20代)
- 創業融資が出るか心配だったが、問題なく出た。その後も融資は出ている。(30代)
- 特に困ったことはない(30代)
- 株式会社と合同会社の2社を持っているが、差を感じたことはない(30代)
- 名刺を渡すときに話のネタにできる(30代)
- 「代表社員」と名乗ると「えっ?社員ですか?」と聞き返されるケースがある(30代)
- 「組合みたいなものですか?」と聞かれて、説明するのに面倒を感じる(30代)
- 親戚に会社を作ったと名刺を渡したときに、合同会社が通じなかった(40代)
- 領収書をもらうときに合同会社という言葉が通じない(40代)
合同会社の10の特徴
合同会社のメリット・デメリット


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