土地地目変更登記とは? 自分で行う場合の注意点や専門家の費用相場を解説

この記事でわかること
- 土地地目変更登記とは
- 土地家屋調査士に依頼したときの費用
- 自分で変更登記をする際の費用と注意点
登記簿の表題部には土地の利用状況である地目が記載されていますが、変更があった際は法務局で土地地目変更登記の手続きが必要になります。
この記事では、土地地目変更登記の概要と土地家屋調査士に依頼した場合の費用、自分で申請する際の費用と注意点について詳しく解説します。
土地地目変更登記とは
登記簿に記載されている地目は、宅地・田・畑といった土地の現況を示すものです。
登記簿に記載されている地目と現況に相違が生じた場合、土地の所有者は1カ月以内に地目変更登記を行わなければいけません。この登記は所有者の義務のため、怠ると過料を課される可能性があるので注意しましょう。
地目には23種類の利用区分がある
地目には、法律で23種類の利用区分が定められており、それぞれ厳密に定義されています。
23種類の中でよく使われる地目には、次のようなものがあります。
- 田:水を引いて耕作する農地
- 畑:水を引かずに耕作する農地
- 宅地:建物の建っている敷地、一帯を利用している家庭菜園などの土地
- 公衆用道路:市区町村が所有・管理している道路だけでなく、個人所有の私道も、誰でも通行できる状態であれば公衆用道路と判断される場合がある
また、地目の中で最後に記載されている雑種地は、「(1~22まで)のいずれにも該当しない土地」と定義されており、22種類に該当しない現況の土地は、すべて雑種地となります。たとえば、駐車場や太陽光パネル置き場などが雑種地に該当します。
地目の判断基準
土地の現況が23種類のどの利用区分(地目)に該当するかは、その土地全体の利用状況から判断します。
土地には、1筆1地目というルールがあり、1筆の土地の半分を畑、残りを宅地として利用している場合、地目を畑としても宅地としても登記できません。
1筆のなかで複数の地目に該当する用途で使用している土地の地目変更をする時は、現況に応じて土地を分筆し、それぞれ別の土地として登記する必要があります。
また、地目は将来の変更予定や変更中の段階では登記できないため、現況が完全に変わってから登記申請することとなります。
上記のとおり、地目は1筆の土地の利用状況が法律で決められた23種類の地目のいずれに該当するか、利用状況が混在していないかという厳格な基準に従って判断します。
土地地目変更で注意すべき地目、田・畑
田・畑といった農地を農地以外に転用する場合、農地法の制限を受けます。
農地は国内の食料需給の観点から農地法という法律で管理されているため、農地以外に転用する場合、許可権者に届出を行い転用するための許可を得る必要があります。
また、周辺が田畑に囲まれた優良農地や農業振興地域という農業を推進している地域は、そもそも転用することはできません。
ご自身の農地が転用できるかどうかについては、市区町村役場の農業委員会や農政課という部署で確認することができます。手続きについてわからないことがあれば行政書士への相談も検討しましょう。
土地家屋調査士に土地地目変更登記を依頼した場合の費用
ここでは、土地家屋調査士に土地地目変更登記を依頼した場合の費用について解説します。
表題部の登記は土地家屋調査士の専門業務
登記簿謄本は、不動産の情報が記載されている表題部と、所有権などの権利について記載されている権利部に分かれています。
それぞれ登記できる専門家が異なり、表題部は土地家屋調査士、権利部は司法書士の専門業務となっています。
地目は表題部の記載事項のため、土地地目変更登記を専門家に任せたい場合、土地家屋調査士に依頼することになります。
土地地目変更登記の相場は1筆5万円前後
土地地目変更登記を土地家屋調査士に依頼したときの相場は、1筆あたり5万円前後です。申請地が1筆追加されるごとに2~3万円が加算されます。
現地の状況が複雑で法務局との調整が必要になる場合、上記の金額より高くなることもあります。
また、登記をするにあたり、土地家屋調査士は現地の現況確認を行うため、遠方の場合は交通費や宿泊費が別途かかります。
そのため、依頼する土地家屋調査士は、依頼地の近くに事務所を構える調査士を探した方がいいでしょう。
自分で土地地目変更登記を行う場合の費用
土地地目変更登記は土地の所有者が自ら申請することもできます。
ここでは、自分で土地地目変更登記を申請する場合の費用と注意点について解説します。
費用
自分で土地地目変更登記を申請する場合に必要となる費用は、各種証明書の発行手数料と交通費です。
証明書の発行手数料
まず、申請地の現在の登記状況を確認するために、申請地の登記簿謄本、公図、地積測量図を法務局またはオンラインで取得します。
オンラインの登記情報提供サービスというサイトから取得すると、法務局よりも2割程度安く発行できます。
土地地目変更登記が完了した後には、登記内容を証明するために変更後の登記簿謄本を取得するため、発行する書類は変更前と変更後の登記簿謄本を各1通、公図1通、地積測量図1通の4種類でおよそ2,000円程度かかります。
交通費
土地地目変更登記は、対象の土地を管轄する法務局で手続きしなければいけないため、遠方地の変更登記をする場合、交通費がかかります。
また、土地地目変更登記では対象地の現況の写真を求められるため、法務局と現地を往復するための交通費も負担しなければいけません。
注意点
法務局は、平日の日中しか開いていないため、時間に融通が利かない人は土地地目変更登記を自分で行うことは難しいといえます。
また、土地地目変更登記には変更後1カ月という申請期限もあるため、難しいと感じたら早めに土地家屋調査士に相談しましょう。
まとめ
土地地目変更登記は地積測量図を描くような専門的な作図が必要ないため、頑張れば自分でも可能な手続きです。
費用面だけを見て自分でやるかどうかを決めるのではなく、申請期限までに手続きの時間を確保できるのかについても留意して判断しましょう。
土地地目変更について少しでも不安や気になる点があれば、専門家である土地家屋調査士に相談することをおすすめします。